Raspberry Pi社製品を利用した振動計測システムと
モニタリングアプリ
概要
加速度センサー・振動センサーをRaspberry Piに接続し、計測したデータをMicro SDカードに出力する計測システムをご紹介します。Raspberry Piを利用することで、コンパクトで省電力な計測システムを実現し、幅広い計測対象や計測場所に対応可能です。
また、防水性・防塵性を備えた加速度センサー・振動センサーと接続する計測システム(下記:システム構成②)も構築可能ですので、お客様の環境に応じてご利用いただけます。
なお、本計測システムはRaspberry Pi 4B, Raspberry Pi 5に対応しております。
システム構成例
構成例①(組込みタイプのセンサーを使用)
※計測時に正確な時刻情報を得るにはRTCが必要です。Raspberry Pi 4B とRaspberry Pi 5 ではRTC使用時に必要な機器・設定が異なります。詳細は マニュアル をご確認ください。
※中継ボードと評価ボードの代わりに組込みタイプセンサー用USB接続キット構築 参考例を使用することも可能です。

構成例②(防水・防塵タイプのセンサーを使用)
※計測時に正確な時刻情報を得るにはRTCが必要です。Raspberry Pi 4B とRaspberry Pi 5 ではRTC使用時に必要な機器・設定が異なります。詳細は マニュアル をご確認ください。

振動計測システム モニタリングアプリ
振動計測システム モニタリングアプリは、計測データをWeb画面に表示するWebアプリケーションです。ユーザーはPCからWebブラウザを通じてRaspberry Piにアクセスし、センサーの状態計測データのグラフなどをリアルタイムで確認できます。
モニタリングアプリは下記の計測アプリがインストールされたRaspberry Pi上で動作します。
計測アプリ
- Raspberry Pi社製品を利用した振動計測システム
- VC判定 振動計測システム
アプリケーション イメージ図
※計測アプリがVC判定 計測システムの場合、センサーはM-A352AD10またはM-A552AR10のみ使用可能です。

Webアプリ ホーム画面

グラフ画面
※この画面はVC判定 振動計測システムを実行している場合のみ表示されます。

活用事例
阿蘇山での活用事例
九州中部にある阿蘇山で、長期間の地震計測に本システムを使用しました。システム構成例①に基づいてシステムを構築し、センサー部分はケースに収めた後、地中に埋めて計測を行いました。屋外設置の状態で2週間にわたる計測を無事に完了しました。
詳細は事例ファイル「地震を計測してみた!/解析してみた!」をご覧ください。
計測準備の様子
下記の画像を撮影した後、センサー部分は地中に埋め、Raspberry Pi には直射日光が当たらないように覆いを設置しました。
※Raspberry Pi の熱暴走を防ぐため、直射日光が当たらないように設置し、ヒートシンク、ファン等の使用を検討してください。

事例ファイル | 説明 |
---|---|
地震を計測してみた!(計測データcsvファイル付き) | 阿蘇山で本システム(構成例①)を使用した計測事例の紹介記事です。 |
地震を解析してみた! | 上記の計測から得られた地震の振動データの解析内容の紹介記事です。 |
高層ビルでの長時間計測
高層ビルの固有周期計測に本システム(構成例①)を使用しました。電源の確保にはポータブルバッテリーを使用し、以下の条件で68時間の連続計測ができました。
詳細は事例ファイル「高層ビルを計測してみた!/高層ビルを解析してみた!」をご覧ください。
使用機材 | 台数 |
---|---|
FLOWREON製バッテリー (型番:HP300 / 容量:220Wh) |
1 |
Raspberry Pi 4B | 1 |
加速度センサーM-A352AD10 | 1 |
評価ボードM-G32EV041 | 1 |
事例ファイル | 説明 |
---|---|
高層ビルを計測してみた!(計測データcsvファイル付き) | 高層ビルで本システム(構成例①)を使用した計測事例の紹介記事です。 |
高層ビルを解析してみた! | 上記の計測から得られたビルの固有周期の解析内容の紹介記事です。 |
複数台のセンサーで計測する場合
下記の計測条件で動作確認済みです。
使用センサー (組込みタイプ) |
センサー台数 | サンプリングレート | USB-C変換基板 | USBハブ |
---|---|---|---|---|
振動センサー:M-A342VD10 | 4台 | 3000sps | 評価ボード:M-G32EV041 | ELECOM U2H-SN4NB |
組込みタイプセンサー用USB接続キット構築 参考例 | ||||
加速度センサー:M-A352AD10 | 4台 | 1000sps | 評価ボード:M-G32EV041 | |
組込みタイプセンサー用USB接続キット構築 参考例 |
使用センサー (防水・防塵タイプ) |
センサー台数 | サンプリングレート | USB-C変換基板 | USBハブ |
---|---|---|---|---|
振動センサー:M-A542VR10 | 4台 | 3000sps | 防水・防塵タイプのセンサーとホスト間のハードウェア接続ガイド(USB/LAN) | StarTech ICUSB234854 |
加速度センサー:M-A552AR10 | 4台 | 1000sps |
ドキュメント
ドキュメント | 説明 |
---|---|
Raspberry Pi社製品を利用した振動計測システム セットアップマニュアル(PDF,2.7MB) | 本計測システムを構築するためのマニュアルです。 |
Raspberry Pi社製品を利用した振動計測システム オペレーションマニュアル(PDF,1.8MB) | 構築した本計測システムを利用するためのマニュアルです。 |
振動計測モニタリングアプリ ユーザーズガイド(PDF,1.4MB) | モニタリングアプリを構築・利用するためのガイドです。 |
プログラム
※以下のサンプルコードを利用する場合は、ソースファイル記載のライセンスに同意したことになります。
※以下のサンプルコードはRaspberry Pi 4B, Raspberry Pi 5に対応しております。
プログラム | 説明 |
---|---|
計測用サンプルコード(Python)(ZIP,128KB) | 本計測システムを構築するためのマニュアルです。 |
振動計測モニタリングアプリ サンプルコード(ZIP,90KB) | 構築した本計測システムを利用するためのマニュアルです。 |
これらの技術記事は、下記の技術論文を元に作成しています。
- タイトル:「Quartz Enhanced Micro Electromechanical Systems Accelerometer for Seismic Monitoring: Field Performance in Volcanic Region.」
- 発表先:IEEE SENSORS JOURNAL
※東京大学大学院工学研究科辻研究室とセイコーエプソンとの共著論文で、ポスドクのR. D. Andajani博士が第一著者です。