加速度センサーを用いた橋梁変位推定
概要
エプソンの水晶加速度センサーを用いて、鉄道橋や道路橋の変位を計測した事例およびソフトウェアを紹介します。
橋梁構造物の維持管理において、変位量は国交省が定める道路橋示方書に定義される「たわみの許容値」に基づく使用限界評価に利用される重要な指標です。
一般に、橋梁の変位計測は基準点が必要な接触式変位計やレーザー変位計が使われています。しかし、基準点を確保する必要があったり、天候影響を受けるなどの課題により普及は限定的でした。
これらの課題に対して、橋梁部材に設置した加速度センサーで計測された加速度を用いて変位を求める手法が開発・実用化されています。この手法は基準点を必要とせず、周囲の環境や天候に左右されない利点があります。
道路橋の変位推定
変位推定ソフトウェア Epson Bridge Deflection Calculator
橋梁における車両通過時の応答加速度積分による変位を算出するソフトウェア「Epson Bridge Deflection Calculator」を提供しています。このソフトウェアは加速度センサーM-A352/M-A552/M-A370で計測した加速度データから橋梁の変位推定結果を算出・表示するソフトウェアです。接触式変位計などから得られた変位リファレンスデータとの比較も可能です。
変位推定ソフトウェアの活用事例
模擬橋梁に加速度センサーM-A552 を設置し、Epson Bridge Deflection Calculator で橋梁の変位を推定しました。下図下段には、加速度から推定した変位の時系列データ(青線)と接触式変位計のリファレンスデータ(橙線)を示しています。この図から、加速度から推定した変位が接触式変位計の計測結果と非常によく一致したことがわかります。

配布ファイル一式
お手元のPCで変位推定ソフトウェアを使用できます。
| サンプルデータ | 説明 |
|---|---|
| Epson Bridge Deflection Calculator 配布ファイル一式(ZIP,51MB) | 本ZIPファイルには、以下の配布ファイル一式が含まれています。
各ファイルの詳細は、下記の個別項目をご覧ください。 |
ドキュメント
| ドキュメント | 説明 |
|---|---|
| Epson Bridge Deflection Calculator ユーザーガイド(PDF, 1.2MB) | 橋梁変位推定ソフトウェア Epson Bridge Deflection Calculatorを利用するためのマニュアルです。 |
ソフトウェア
実行可能形式ファイルおよびPythonソースコードを提供しています。
| プログラム | 説明 |
|---|---|
| Epson Bridge Deflection Calculator 実行可能形式 (ZIP,49MB) | 橋梁変位推定ソフトウェア Epson Bridge Deflection Calculatorです。使い方はユーザーガイドをご覧ください。 ※こちらにはEXE形式の実行可能ファイルが含まれています。Pythonソースコードは含まれておりません。 |
| Epson Bridge Deflection Calculator ソースコード(Python) (ZIP,1.9MB) | 橋梁変位推定ソフトウェア Epson Bridge Deflection Calculatorのソースコードです。 ※こちらはPythonコードです。EXE形式の実行可能ファイルは含まれていません。 |
サンプルデータ
| サンプルデータ | 説明 |
|---|---|
| 模擬橋梁データ(CSV,72KB) | 活用事例使用の模擬橋梁を計測した加速度センサー出力(B列)と接触式変位計データ(C列)が記載されています。変位推定ソフトウェア Epson Bridge Deflection Calculator に入力してお使いいただけます。 |
鉄道橋の変位推定
加速度センサーを使って鉄道橋を計測し、変位を推定した事例を紹介します。
列車通過時の変位計測事例
水晶加速度センサーM-A352AD10を、2室箱桁構造の鉄道橋梁に設置し、列車通過による変位を計測しました。加速度センサーにより計測された加速度を2階積分して算出した変位と、接触式変位計の結果と非常によく一致しました。詳細は事例ファイル「橋梁を計測してみた!/解析してみた!」をご覧ください。

| 事例ファイル | 説明 |
|---|---|
| 橋梁を計測してみた! (計測データcsvファイル付き) | 鉄道橋梁での変位計測方法と計測データを紹介しています。 |
| 橋梁を解析してみた! | 鉄道橋梁で計測したデータの解析内容を紹介しています。 |
アオリ監視装置の実用化事例
エプソンは、JR東日本および長野計器と共同で、鉄道橋の鋼橋支点部の状態を遠隔で監視する「アオリ監視装置」を開発し、実用化に成功しました。この装置は、エプソンの加速度センサーM-A352を使用して、列車通過時の桁の上下動(アオリ)の大きさを自動で測定し、データを電子メールで送信します。これにより、従来は作業員に頼っていた監視作業が自動化されます。
詳しくはニュースリリースをご覧ください。
論文紹介
技術論文 では、エプソン加速度センサーを活用した変位推定に関する論文を多数紹介しています。ぜひご覧ください。



