用語集
A-N
Accumulated jitter
ジッタの規定方法の1つ。
参照:ジッタ
APR(絶対周波数可変範囲)
周波数の公称値からの変化させることができる周波数の範囲を言います。すなわちAPR=周波数可変範囲ー周波数偏差(周波数許容偏差)となります。
AT振動子、ATカット振動子
水晶原石からATカットと呼ばれる切断角度で作り出された水晶振動片を内蔵した水晶振動子。メガヘルツ(MHz)帯をカバーし、水晶振動子の中で最もポピュラーに使用されています。常温付近に変極点をもった3次関数の周波数-温度特性を持っていますので、温度特性に優れています。
参照:周波数温度特性
CD
ドレイン容量の記号。
参照:水晶発振回路
CG
ゲート容量の記号。
参照:水晶発振回路
CI
Crystal Impedanceの略。
参照:等価直列抵抗
CL
負荷容量の記号。
参照:負荷容量
CMOS
Complementary Metal Oxide Semiconductorの略で、ICの構造の1種。現在 ICの主流となっています。
CMOS負荷
出力に接続される負荷回路を云い、CMOS構造(IC構造の一つ)を持った回路。
High/Lowの閾値は50 %VCC。Highレベルの下限は80 %VCC (90 %VCC) 、Lowレベルの上限は20%VCC (10 %VCC) になります。
Deterministic Jitter
ジッタの規定方法の1つ。
参照:ジッタ
DTCXO
Digital Temperature Compensated X'tal(crystal) Oscillatorの頭文字で、エプソンの温度補償型RTCに搭載されている発振回路です。C-MOS温度センサー出力をA/D変換後、デジタル処理で水晶発振容量を調整して常に正確な32.768kHzが 維持されます。一部のRTCが搭載する、秒カウンターの動きをだけを演算回路で調整して時刻精度を得る方式とは異なり、RTC搭載機能の全てが温度補償された32.768 kHzで動作するため高精度なクロック出力やタイマータイミングが得られます。
EMIノイズ
水晶発振回路および周辺回路より電波として放射されるノイズ。主に発振周波数の高調波成分が電波障害ノイズとなります。EMI はElectro-Magnetic Interferenceの略。エプソンはEMI低減可能なスペクトラム拡散プログラマブル水晶発振器を販 売しています。
GND
信号の基準電位(0V)を表す記号。グランドと読みます。
Hz
周波数の単位で、ヘルツと読みます。103 HzをkHz(キロヘルツ)、106 HzをMHz(メガヘルツ)、109HzをGHz(ギガヘルツ)と表記します。
I²C-BUSインターフェイス
シリアルインターフェイスの一種。Philips Electronics社(現NXP Semiconductors社)により提唱された規格。RTCモジュールにも搭載しているインターフェイスです。
Long term jitter
Accumulated jitterのこと。
参照:ジッタ
LVDS
Low Voltage Differential Signalingの略で、抵抗の両端の電位差を利用した低振幅の差動方式でデータをシリアル転送する回路。高周波に適しています。
LVDS出力の定義 | 出力の電圧レベル比較 |
O-R
OCXO
Oven Controlled X'tal(crystal) Oscillatorの略で、水晶発振器の周波数安定度を高めるために、小型恒温槽の中に水晶デバイスを設置した恒温槽一体型水晶発振器。TCXOは温度変化を補正して周波数変化を抑えるのに対し、OCXOは温度変化を起こさせないことにより周波数変化を抑えます。TCXOよりも高い周波数安定度を要求される計測器、基地局用通信機器等に採用されています。
Period jitter
ジッタの規定方法の1つ。
参照:ジッタ
PECL
Positive Emitter Coupled Logicの略で、ICの入出力レベルの1つ。抵抗の両端に発生する電位差を利用してデータを転送します。
LV-PECL出力の定義 | ECL出力の定義 | 出力の電圧レベル比較 |
PLL
Phase Locked Loopの略で、特定周波数のクロック信号をベースに任意の出力周波数を作り出す回路または IC。身近ではテレビ・ラジオのチューナで受信周波数の可変回路に用いられています。エプソンは、PLLを使ってプログラマブル発振器を開発し、販売しています。
PLL発振器
PLL回路を持った水晶発振器。プログラマブル水晶発振器もこれに該当します。100 MHzを越える周波数も容易に出力が可能です。
参照 : PLL 水晶発振器製品一覧 プログラマブル水晶発振器
Random jitter
ジッタの規定方法の1つ。
参照:ジッタ
RD
ドレイン抵抗の記号。励振レベル(ドライブレベル)を抑制する目的で実装します。水晶発振回路を参照
Rf
帰還抵抗の記号。
参照:水晶発振回路
RMS jitter
ジッタの規定方法の1つ。
参照:ジッタ
RTCモジュール
リアルタイムクロック機能を持った ICと32.768 kHzの水晶振動子を1つのパッケージに収納した製品。コンピュータやFAXをはじめ、時間管理を必要とする電子機器に使われています。発振回路設計、時計精度設計が不要になると共に、回路基板のスペース効率が向上できるというメリットがあります。
RTCモジュール
(弊社製RX8901CE)
参照 : RTC
S-Z
SAW発振器
SAW共振子片と水晶発振回路内蔵のICを一つのパッケージに収納した水晶発振器。エプソン製品では、EGシリーズがこれに該当します。さらに、EG-2121およびEG-2102は周波数温度特性を従来の1/2に向上しました。
参照 : 周波数温度特性
SMDタイプ
回路基板の表面に実装するタイプのパッケージの総称。SMDはSurface Mounted Deviceの略。水晶デバイスの歴史の中では比較的新しいパッケージで、パッケージ材料としてセラミックやプラスチックがよく使われています。
SOJタイプ
Small Outline J-leaded Packageの略で、リード(ピン)がボディーの両側から出て、その先端がボディーの下に曲げられた表面実装(SMD)タイプのパッケージ。
SOJパッケージ水晶振動子
弊社水晶振動子MC-306
SOPタイプ
Small Outline Packageの略で、リード(ピン)がボディーの両側から出て、その先端が外側に開いた表面実装(SMD)タイプのパッケージ。
SOPパッケージRTC
弊社RTC:RX8900SA
TCXO
Temperature Compensated X'tal(crystal) Oscillatorの略。詳細は、温度補償型水晶発振器を参照。
参照 : 温度補償型水晶発振器
VCC
トランジスタのコレクタ端子のプラス電源端子、または電源電圧値。VDDと記載されることがありますが厳密には異なります。VDDを参照。 (水晶発振器についてはVCCを統一記載しております。)
参照 : VDD
あ行
アウトプットイネーブル
内部の回路が動作状態のまま、出力を停止状態にする端子。RTCモジュールや水晶発振器に設けられており、システム休止状態で使うことによりシステムの低消費電力化に役立ちます。OEと略すこともあります。関連する用語としてスタンバイがあります。
参照 : スタンバイ
圧電現象
水晶を代表とする結晶材料の特定の結晶軸方向に圧力を加えると、特定の軸方向に電荷が発生する現象。反対に同軸方向に荷電すると機械応力が発生する現象を逆圧電現象と言います。この性質を持った材料素子として、水晶(SiO2)、タンタル酸リチウム(LiTaO3)、ニオブ酸リチウム(LiNbO3)に代表される単結晶材と、チタン酸バリウム(BaTiO3)等の多結晶材(圧電セラミックス材)があります。各材料それぞれ一長一短ありますが、振動の安定性では水晶が一番優れています。
圧電現象 | 逆圧電現象 |
参照 : 圧電素子
圧電素子
圧電現象をもった結晶材料素子。水晶(SiO2)、タンタル酸リチウム(LiTaO3)、ニオブ酸リチウム(LiNbO3)に代表される単結晶素子と、チタン酸バリウム(BaTiO3)のような多結晶セラミック素子があります。
参照 : 圧電現象
厚みすべり振動
水晶振動子の振動モードの一つで、図のように水晶板の厚み方向の上下表面がそれぞれ対向方向にすべるような振動モード。AT振動子に代表される高周波振動子に利用されます。 周波数fは、振動片の厚みTの関数になります。
基本波の場合 f = k/T (k: 定数)
3次オーバートーン | 基本波 |
参照 : AT振動子
位相雑音(位相ノイズ)
水晶発振回路の内部および外部環境(雑音)により発生する発振周波数近傍の不要なエネルギー放射。この数値が高いと無線信号の送受信エラーが発生します。
オーバトーン
基本波振動に対する高次(奇数倍)の振動。各振動子共基本振動の他に高次の振動モードを有しており、基本波では設計、加工が難しい高周波数を実現するためにこの高次振動が使用されます。一般的には3次(基本波の3倍)のオーバトーンが使われています。
基本波 | 3次オーバートーン |
参照 : 厚みすべり振動
音叉型水晶振動子
音叉形状をした振動片を使った振動子。比較的低周波に適し、振動部と支持部を分離できるため小型化しやすいという長所があります。振動モードは、屈曲振動を参照。
か行
回路評価(マッチング)
参照 : 発振回路設計時の注意事項
機械加工
機械的方法により形状を作り出すこと。水晶デバイスとしては、古くから水晶の音叉形状の形成に機械加工を採用しており、その製品は後に登場したフォトリソグラフィ加工による製品とは寸法や特性上で違いがあることにご留意ください。
参照 : フォトリソグラフィ加工
基本波
AT振動子の持っている振動モードのうち、1次の基本振動モード。本来の安定した振動が得られることから、高次振動に対し水晶発振回路設計が比較的に容易となります。
基本波 | (参考)3次オーバートーン |
屈曲振動
水晶振動子の振動モード(姿態)の一つで、音叉型振動子に代表されるように振動体の外形が屈曲運動するような振動モード。低周波数の振動子に利用されます。
屈曲運動
クロック発振器
コンピュータを始めとするデジタル機器の動作に必要な等間隔パルス信号を発生する水晶発振器。正確な送受信周波数を発生させる水晶発振器と同じ構成ですが、用途によって分類されています。 エプソンではSGシリーズがこれに該当します。
経時変化量(経年変化量)
参照:周波数経時変化
ゲート容量
水晶発振回路の構成部品。
参照:水晶発振回路
高周波
周波数帯域分類のうち、メガヘルツ(MHz)帯域の周波数。
公称周波数
水晶振動子の指定負荷回路での発振周波数。水晶振動子の周波数は水晶発振回路の負荷の大きさにより周波数が変化しますので、頭に「公称」を付けて指定負荷回路での発振周波数であることを表記します。
さ行
最大供給電圧
電源端子に供給される電圧の最大定格値。この値以上の電圧を印加すると特性の劣化または、破壊につながる場合があります。
最大励振レベル
水晶振動子が正常に動作する励振レベルの上限値。励振レベルはドライブレベル(DL)とも言います。この値以上の電流または電力を印加すると特性の劣化または破壊につながることがあります。
ジッタ
· ジッタ:信号波形に生じる時間軸のずれや揺らぎ。
· ピリオドジッタ:信号の1周期長のずれや揺らぎ。Peak to peakジッタは、信号の最大周期長と最小周期長の差を示し、RMSジッタは周期長の分布の標準偏差(1σ)を示す。
· サイクル to サイクルジッタ:信号の隣り合う1周期同士の差に発生するずれや揺らぎ。最大周期差の絶対値をPeak to Peak、周期差分布の標準偏差をRMSと示す場合がある。
· ランダムジッタ (RJ):熱雑音やフリッカ雑音が起因で発生するジッタ。ジッタの分布は正規分布を示し、その標準偏差をジッタ値としている。
· デターミニスティックジッタ (DJ):回路設計、電磁誘導、また外部環境等で誘発されるジッタ。有限で予測可能(確定的)であることが特長。本ジッタがあると、ジッタの分布が複数の正規分布(ランダムジッタ)が重なり合った形で現れ、これら正規分布の中央値の最大と最小の差をジッタ値としている。
· トータルジッタ (TJ):規定された確率において発生しうるジッタ最大量。TJ = DJ + n × RJ で計算される。DJは確定的ジッタのため有限値であるが、RJは正規分布を示すため、取りうる値は無限大となる。そのため、TJにはエラー発生確率(BER)が設定され、その確率に応じてnの値が決定される。BER=10^-12の場合、n≒14となる。
· 位相ジッタ:位相雑音より導出されるジッタ。位相雑音とは、周波数領域で表現した周波数の不安定さであり、これを積分して時間領域に換算することで得られる。
- Period Jitter(Peak to Peak)
1周期長のばらつきの幅を示す(最大と最小の差) - RMS Jitter(σ)
ばらつきの程度を示すもの(標準偏差)
PeriodJitterとRMSJitter - Random Jitter
自然誘発的に起こる予測不可能なジッタ - Deterministic Jitter
回路、電磁誘導、外部環境等から誘発されるジッタRandom JitterとDeterministic Jitter Random Jitter - Accumulated Jitter(Long Term Jitter)
連続したクロックの各周期目のばらつき。Accumulated Jitter Accumulated Jitter ジッタの比較 - Cycle to Cycle Jitter
隣接するクロック・サイクル間の周期の一時的なズレ。Cycle to Cycle Jitter = T1 -T2
周波数
単位時間(1秒間)当りの周期(波)の数。周波数(f)と周期(t)の関係は、f (Hz) = 1/t (s)となります。
周波数安定度(周波数許容偏差)
規定の温度条件範囲および動作電圧範囲内で、水晶発振器の規定の出力周波数(fo)の許容誤差(周波数温度特性と周波数電圧特性を含む)を規定したもの(デルタf/fo)。
周波数温度特性
+25 ℃時の周波数を基準とし、周囲温度の変化による周波数の変化。周波数温度特性は次の近似式で表されます。
エプソンのSAW共振子/発振器には、周波数温度特性が通常レベルの製品に加え、2倍に向上した製品があります(New SAW: NS-32R, EG-2121,EG-2102)。
音叉型振動子の周波数温度特性例 | AT振動子の周波数温度特性例 | SAW振動子の周波数温度特性例 |
周波数可変範囲
電圧制御型水晶発振器において、Vc端子への入力により変化させることができる周波数の範囲。ここで、APR(絶対周波数可変範囲)と言う場合は、周波数の公称値からの変化させることができる周波数の範囲を言います。すなわちAPR=周波数可変範囲ー周波数偏差(周波数許容偏差)となります。
周波数経時変化
時間の経過と共に生じる周波数の変化量。通常は1年間の周波数の変化量を言います。水晶振動子では水晶片の加工工程で加えられた表面の応力歪、支持部分で発生する応力歪、さらにパッケージ内部のガスの変化等が特性変化の要因となります。周波数エージング、経時変化、経年変化とも言います。
周波数電源電圧特性
動作電源電圧内の中心値の出力周波数を基準とし、電源電圧の変化によってずれる出力周波数。電源電圧変動による周波数の変化の要因としては、水晶の歪の変化、および発振器やRTCモジュールに内蔵されているIC内部の定数の変化がありますが、一般的には後者の影響が大きな比重を占めています。
周波数偏差(周波数許容偏差)
- 動作条件の変化等による周波数の基準値(f)からのずれ(Δf)を比(Δf/f)で表したもの。
- 周囲温度25℃における規定周波数(f)からの実際の周波数(測定値)のずれ(Δf)を比(Δf/f)で表したもの。常温偏差とも言います。
出力周波数
水晶発振回路または水晶発振器から出力される周波数。
出力負荷
出力に接続される回路負荷。
真空蒸着
真空中で、金属・誘電体物質を蒸発させ、基板表面に薄い被膜を形成させる方法。蒸着の方法としては抵抗加熱真空蒸着法、E.B加熱真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、CVD法などがある。
人工水晶
天然に産出される水晶に対し、人工的に育成された水晶のことを言い、水晶デバイスの原料となります。天然に産出される水晶原石には不純物が多く含まれており品質のバラツキが激しいのに対し、人工水晶原石は不純物が少なく均一な品質を有していますので、安定した水晶デバイスが製造できます。水熱合成法と称する製法により種水晶を所定のサイズにまで成長させる方法がとられています。オートクレーブと呼ばれる育成炉の中で、約+400 ℃・1000気圧の環境のもとに2ヶ月位かけて育成されます。
人工水晶
水晶
SiO2で表される六方晶形の単結晶体。天然水晶と人工水晶があり、装飾用としては天然水晶が使用されます。水晶デバイス(工業用)では、1960年代頃までは天然の水晶原石が使用されてきましたが、以降良質な人工水晶原石が生産できるようになり、不純物や格子欠陥が少ない、供給が安定しているなどの理由から現在では全てが人工水晶に置き換わっています。
天然水晶 | 人工水晶 |
水晶発振器
水晶振動子と水晶発振回路を内蔵したICを1つのパッケージに収納し、所定の周波数を出力できるようにした水晶デバイス。水晶振動子と水晶発振回路とのマッチングが調整済みですので、安定した発振出力が得られます。エプソンは、水晶振動子より水晶発振器の使用をお奨めしています。
スタンバイ
発振器内の水晶振動子の発振部と出力段の動作を止める機能。発振部と出力段で消費される電流がカットされます。関連する用語としてスOE:アウトプットイネーブルがあります。
参照 : アウトプットイネーブル
絶縁抵抗
リード端子相互間、およびリード端子とケース・パッケージ間の抵抗値。
絶対最大定格
製品の破損や特性の致命的変化をもたらさないための項目とその範囲。
セラミックパッケージ
ボディーの材料にセラミック材を使用したパッケージ。水晶振動子は長期にわたって特性を維持するために、気密性の高い容器に封止する必要があります。このため、従来はパッケージに金属材が使われてきましたが、小型SMD製品には新たにセラミック材が使われるようになってきました。
た行
耐衝撃性
水晶製品に加わる衝撃に対する耐性。特定の衝撃に対する特性の変化量(主に周波数のズレ)、水晶振動子の破壊の有無で評価します。水晶材料は硬脆材で折れやすいため、携帯機器用として重要な特性となります。従来は衝撃試験機で一定の衝撃を加えて評価する方法もとられてきましたが、近年は一定の重量(100 g)の治具に水晶製品を固定し、この治具を一定の高さから方向を決めて繰り返し落下させて評価する方法がとられてきています。
立下り時間
出力波形が規定の高い電圧(Highレベル)から低い電圧(Lowレベル)に移行する際の時間(波形が立ち下がる時間)。右図のtf。
CMO負荷出力波形 | TTL負荷出力波形 |
参照 : 立上り時間
立上り時間
弾性表面波
参照:SAW
電圧制御型SAW発振器
印加電圧によって発振周波数を制御する機能をもったSAW発振器で、VCSOはその略称。一般的に数百MHz以上の周波数帯に用いられます。
電圧制御型水晶発振器
印加電圧によって発振周波数を制御する機能を持った水晶発振器で、VCXOはその略称。受信周波数の制御の他各種センサと組み合わせた自動制御システムに使用されています。一般的に、可変容量コンデンサを内蔵することにより発振周波数を制御します。エプソンは、電圧制御型水晶発振器としてVGシリーズ,TCOシリーズを販売しています。
電極
水晶振動片の駆動、および励振出力の取出しのために水晶表面に形成された金属材料膜。一般的には、耐食性、水晶素材との密着性、経済性などを考慮して金、銀、クロム等が使われます。
水晶振動子の構造
等価回路
等価直列抵抗
動作温度範囲
仕様(特性値)を満足し動作する温度範囲。
動作電圧
VDD/VCC端子に印加する電圧で、電気的特性を満足し連続動作する電圧。
ドライブレベル(DL)
水晶振動子が発振するために必要な電力、または発振状態の電力レベルのことで、次式で表されます。励振レベルとも言います。
ドライブレベル P = I2 × Re
ここで、I は水晶振動子に流れる電流、Reは水晶振動子の実効抵抗で Re = R1 × (1+C0/CL) (CL: 負荷容量)
ドレイン抵抗(RD)
水晶発振回路の構成部品。
参照:水晶発振回路
ドレイン容量(CD)
水晶発振回路の構成部品。
参照:水晶発振回路
な~は行
波形シンメトリ
クロックの1周期(時間)に占めるHighの時間の割合(右図のtW/t)。なお、CMOS負荷の場合は1/2VDDレベルで測定します。デューティやシンメトリと言う場合もあります。
ハーメティックシール
メタルキャンパッケージの構成部品で、金属容器内の振動子出力を気密性、絶縁性を保持しながら外部に取出すリード端子部材。気密端子とも呼ばれます。
水晶振動子構造図
パッケージ
水晶片、または水晶振動子とICを収納した容器。機能的には、回路基板に実装しやすくする、中を真空にして水晶の発振特性を良好にするなどの役割を担います。
発振開始時間
電源を投入して電源電圧値が最小動作電圧値に達してから水晶振動子が発振を開始し安定するまでの時間。
発振回路
参照:水晶発振回路
発振回路定数
水晶発振回路を構成する各素子の定数で、振動子の種類、周波数および使用するICの種類によって異なります。
周波数範囲 | Rf (MΩ) | RD (KΩ) | CG (pF) | CD (pF) |
---|---|---|---|---|
20~60 kHz | 20 | 500 | 10 | 10 |
60~165 kHz | 10 | 300 | 10 | 10 |
5.5~30 MHz (基本波) |
1 | 0.5 | 5~15 | 5~15 |
30~50 MHz (基本波) |
1 | 0.5 | 5~10 | 5~10 |
発振回路定数の目安 |
Inverter: 東芝 TC74HCU04 (Unbuffer) 相当品。ただし、30~50 MHzは東芝 TC74VHCU04 (Unbuffer) 相当品。
参照 : 水晶発振回路
CMOS水晶発振回路
発振余裕度
水晶発振回路の負性抵抗と水晶振動子のCI値の比で表わされ、発振特性の良さを示すパラメータの一つ。
発振余裕度のチェック方法
フォトリソグラフィ加工
化学薬品を使って水晶基板や金属膜を溶かして主に音叉型水晶振動片の音叉形状、電極を作り出す加工方法。この加工方法が開発される前に行われていた機械加工と比較すると、フォトリソグラフィ加工には次のような特長があります。
- ICと同プロセスのため寸法精度が高く、小型、高精度の振動子を作ることができる。
- 化学的な加工により1枚の水晶板より数百個の音叉が同時加工できるため、ローコストと均一な品質が実現できる。
- 水晶片に歪が残らないために長期にわたって安定な周波数が得られる。
参照 :機械加工
負荷容量(CL)
水晶振動子の両端子から見た水晶発振回路の実効的な容量(直列等価静電容量)で、この容量によって発振出力周波数が決定されます。(関係図のCL)。
水晶振動子と水晶発振回路の関係図 | 音叉型振動子の負荷容量-周波数特性 |
負性抵抗
水晶振動子から見た水晶発振回路側の抵抗値で、水晶発振回路における発振特性を示すパラメータの一つ。負性とは、エネルギーの消費ではなく生み出すことから付けられています。
水晶振動子と水晶発振回路の関係図
プログラマブル水晶発振器
PLL回路を持った水晶発振器のうち、プログラムすることにより任意の出力周波数を設定できるもの。プログラムにより任意の周波数が得られるので、リードタイムが短い、少ない数量でも対応できるという特長があります。プログラムは、専用のプログラミングツールを使って周波数データを書き込みます(プログラム前の発振器をブランク品と言います)。
エプソンは、プログラマブル水晶発振器としてSG-8xxxシリーズを、プログラミングツールとしてSG-Writerを販売しています。
プログラマブル水晶発振器 (弊社製SG-8018) | プログラミングツール (弊社製SG-writer) |
分周回路
基準となるクロックの周波数から低い周波数のクロックを作り出す回路。分周比は普通1/n(nは整数)になります。
ボーレート
1秒間に送れる信号の量。普通bit/秒で表されます。
保存温度範囲
水晶デバイスを動作させない状態で、動作や特性の保証ができる温度。この温度範囲を超えた温度に置くと特性の劣化や破損につながる場合があります。また、保存温度範囲内でも範囲の上限または下限に近い温度に長時間放置すると、特性が変化する場合がありますので、常温常湿状態で保管していただくことをお奨めします。
ま~わ行
リアルタイムクロック
クロックから時刻、年月日などのデジタルデータを作り出力する回路または IC。
クロック源として32.768 kHzの水晶振動子を使うのが一般的です。
参照 : RTCモジュール RTC 32kHz 水晶振動子 製品一覧
リッド
セラミックパッケージにおける蓋部材。リッド材として金属、セラミック、ガラス等があり、それぞれ封着方法が異なります。
セラミックパッケージ構造図
リフロー
電子部品を回路基板に付ける時、電子部品の端子と回路基板に塗られたはんだを溶かして取り付ける方法。部品に200℃を超す温度がかかるため、リフロープロファイルに従って行うことが必要になります。
励振レベル
水晶振動子が発振するために必要な電力、または発振状態の電力レベルのことで、次式で表されます。ドライブレベル(DL)とも言います。
励振レベル P = I² × Re
ここで、I は水晶振動子に流れる電流、Reは水晶振動子の実効抵抗で Re = R1 × (1+C0/CL) (CL: 負荷容量)
水晶発振回路 | 水晶振動子の等価回路 |